丹沢大山なめたらいかんぜよ!!(パート1)
さて、前回の続編になります。
読んでない方はよろしければこちらもご覧下さい。
まだ寒い2019年2月下旬のお話。
大きい山と書いて『大山』その山の麓には、今からこの巨大な山に挑戦しようとする3人の姿があった。
おっさん(ディディー)、おばはん(マーム)、そして4歳の男の子(トーマス)。
彼等は前回初めて山登りに挑戦し、見事『高尾山』の登頂に成功した。
高尾山を登った達成感に、名物のとろろ蕎麦。そして温泉。
彼等はその充実した1日にすっかり気を良くして、無謀にも次のターゲットに丹沢の名峰『大山』を選んだのである。
大山の麓には駐車場「1日1000円」と書かれたプレートを掲げたおじさんをちらほら見かけるので、適当なところで車を停める。
駐車場のおじさんの話だと珍しく今日はかなり空いているらしい。
混雑していると駐車場も満車で停められないことがあるらしいので、事前に周辺のパーキングを調べておいた方が良さそうだ。
駐車場もあっけなく確保でき、気をよくする3人。
前方にはかつてない強敵『大山』が3人を睨みつけていた。
まずは『こま参道」というケーブルカー乗り場まで続く階段をひたすらのぼる。
階段の両脇には飲食店やお土産屋さん等が並んでいるらしいが、まだ時間が
早いのかどの店も閉まっている。
時折店を開ける準備を しているおばさんやおじさんを見かけるが、この3人と
挨拶を交わすことは無い。
これから戦いに挑む者達と、それを見送る者達に言葉などいらない。
無事下山したときに、お互い笑顔で再会出来ることをただ心の中で祈るだけだ。
こま参道の階段を上り続けていると4歳の男の子トーマスに異変が。
みるみる階段を上るペースが下がり始めたのだ。
たしかにこの『こま参道』これから大山を登ろうと意気込む者達の出鼻をくじく。
地味に疲れるのだ。
まだ山道にも入っていないのにこの疲労感。
このまま進んで本当に大丈夫なのだろうか……。そんな不安が微かに脳裏をよぎる。
だがディディーには焦りはまったくない。高尾山を軽々と登ったトーマスがこの
程度の階段で疲れるはずはないと分かっていた。
「ダラダラしないでしっかり歩け!」トーマスに発破をかける。
トーマスは渋々階段を上るペースを上げた。
思えばトーマスにっとてはいい迷惑だろう。別に山に登りたい訳でもないのに
山登りに付き合わされて……いや、トーマスだけではない。マミーもそれは同じ
だ。ディディーの衝動的に思い立ち始めることにした山登りに、このファミリー
は付き合わされているだけだ。
しかし、そんなことは日常的に見かけるありふれた光景だ。例えば町中で見かける
ヘルメットを装着し、本格的な格好でロードバイクに乗る男と女。
それが夫婦なのか、交際している男女なのかはわからないが、きっと男の趣味に
女が付き合わされているのだろうと勝手に想像してしまう。
好きな男の趣味に無理矢理付き合わされて乗りたくも無い自転車に乗り、全身タイツのような体にフィットする服を着させられる女。私にはそう見えてしまう。
まぁもちろん、町中で見かけるロードバイクに乗る男女の全てがそうとは限らない
ことはわかっている。お互い出会う以前からロードバイクに乗ることが趣味であった
可能性も無くはないだろう。だが、きっとそれは極めて希なケースだろう。
さて、話が逸れてしまったがこの家族もこの40歳の男、ディディーの山登り
に付き合わされている形なので各々のモチベーションには隔たりがあって当然
なのだ。
ディディーはもう完全に山を登る自分に酔っているだけだ。すっかり気分は登山家
のつもりでいるのだろう。事前にネットであれこれ調べて装備を整えているから格
好だけはまるでベテラン登山者だ。
40歳になっても中学生あたりから成長がとまっている低脳で残念なおっさんだ。
マミーはずっとトイレが綺麗なのか心配しているに違いない。まぁ、山登りは嫌いではないみたいだが……
トーマスは山登りはあまり乗り気ではないだろう。ただ、体力が有り余っているので
気分が乗ってくれば凄まじいスタミナを発揮してくれる。
こま参道を抜けるとケーブルカー乗り場が現れるが、マミーがケーブルカーの使用を拒否。どうせなら自力で登りたいとのこと。ディディーに付き合わされて山登りをしているが、案外山登りは嫌いではないなと推察できる。
こま参道を抜けるといよいよ入山となるが、男坂と女坂の分岐点が現れる。
女坂の方が名前的に優しそうなので、イージーモードだと予想し女坂の方を選択。
だが、本来のセオリーは登りは男坂。下りは女坂を選択するものだと後日知る。
少し女坂を登ったところで思わぬものと遭遇する。
なんと……野生の鹿の親子を見かけたのだ!!
その写真がこれだ!!
ちょっと見にくいが、3頭の親子の鹿が登山道のすぐ近くに現れた。
人を怖がっている素振りはまるでない。
鹿の親子との出会いはこのファミリーのテンションを一気に上げた。
都心からそう遠くないこの丹沢で、野生の鹿が生息しているのだ。
本当に驚きだ。
これは熊との遭遇ももしかしたらあるかもな……とディディーは思った。
熊の弱点は知っている。眉間だ。以前読んだボクシング漫画『はじめの一歩』
高村VS熊で学習済みだ。眉間に俺様の鉄拳を叩き込めば熊はなんとかなる。
だがイノシシはさすがにヤバイな……
しかし、40歳を超えたいい大人がこんな幼稚なことを考えていることに
愕然とさせられる。
さて、もう長くなってしまったので続きはまた後日書くことにしよう。
それでは。
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